第6回 連続講座・日韓の「歴史問題」の論点を探る
韓国における歴史研究と歴史葛藤をめぐって
――「反日種族主義」事態を手がかりに
2022年3月28日
 
三ツ井 崇(東京大学教養学部・大学院総合文化研究科 准教授)


 植民地支配に行われた様々な民衆への抑圧、弾圧、意に反した動員などの被害をどのように償うか、その歴史を次世代に伝えていくかは、現在もなお大きな問題として横たわっています。こうしたいわゆる「歴史問題」についての議論は、史実の認識のみならず、関係する法律の解釈、これまで行われてきた施策の評価など問題が関係しており、簡単に理解できない点もあります。
 わたしたち東京大学韓国学研究センターでは、そうした複雑な「歴史問題」について、これまで研究や解決の模索に取り組んでこられた方々を招いて、「論点整理」のための連続講演会を行ってきました。今回、その内容について、講演録を文字化して、HPに掲載することとなりました。
 以下の講演録は、2022年3月28日に行われた、三ツ井崇東京大学准教授の回のものとなります。
 三ツ井先生は、植民地期の朝鮮の言語政策に取り組んで博士学位を取得された後、これまで朝鮮近現代史についての多数の論考を発表されてきました。講演では、マスコミ等では日本と韓国という枠組み、反日と親日というような枠組みで見られがちな日韓の歴史葛藤について、これとは異なる要素について、韓国内の歴史研究、政治動向との関係も含めて丁寧に読み解き、解説を加えています。「歴史問題」の根本にある、歴史をどう考えるかについて、多くの示唆を与える内容となっていますので、ぜひご一読ください。

※この事業は、韓国国際交流財団の後援を受けて進めています。